記事一覧:2025年10月13日

Lenovo Yoga Tab(11.1インチ、2025)レビュー

 今まで使っていたiPad Air(第三世代)からの置き換えとしてLenovo Yoga Tab(11.1インチ、2025年モデル)を購入しました。初めてのAndroidタブレットと言うことで若干の不安があったのですが、結果としては特に不満のないレベルで良いデバイスでした。ということで以下簡単なレビューです。

購入経路とパッケージ、本体デザイン

 今回はLenovo公式の直販サイトで購入しました。価格は税込みで6万3,800円。ちょうどキャンペーンで「1年間 アクシデント・ダメージ・プロテクション」が99円だったのでこちらも追加しています。こちらはAppleの「Apple Care+」に相当するようなサービスで、画面破損等についても無料修理の対象になるようです。発売直後の9月26日に注文したので出荷まで1週間程度、とのことでしたが、結果としてはおよそ6日後の10月2日に手元に届きました。

 パッケージはこのような感じで、簡素ですが十分な感じです。

Lenovo Yoga Tab 11.1のパッケージ

 本体の下にはペンに加えて充電器、保証書、USB type-Cケーブルが入っていました。 パッケージ内部にはまず本体が収められている

付属品は本来の下に収められている

 充電器は最大45W出力(5V/3A、9V/3A、12V/3A、5~11V/4.5A)で高速充電に対応しています。

付属充電器は45W出力対応

 ペンは高級感のあるデザインで、ペン先の交換も可能なタイプです。Apple Pencil(初代)と比べると少し短く、重量も若干軽いため取り回しやすい感じです。充電は第2世代Apple Pencilのように本体にマグネットで取り付けることでワイヤレスで行えます。

ペンも標準で付属 ]

Apple Pencil(初代)との比較

 本体は画面解像度が3200×2000ドット(16:10)ということもあって、iPadよりも縦長。縦持ちした場合の高さはiPadとほぼ同じで、その分幅が狭くなっています。背面にはカメラ×2とフラッシュ(LED)を搭載。技適マークやシリアルナンバーがシールで貼られている点はデザイン的にはやや残念なところです。

本体はやや縦長

背面には技適マーク等がシールで貼り付けられている

使用感

 OSはAndroid 15ですが、UIはカスタマイズされた「Lenovo ZUI」というものが採用されています。初回起動時に「17」という表示が出ますが、これはAndroidのバージョンではなくZUIのバージョンです。

起動時に「17」との表示が出るが、こちらはAndroidバージョンではなくZUIのバージョン

 メーカー独自のUIカスタマイズについてはさまざまな意見があるかと思いますが、このZUIについてはホーム画面下にはiPadOSのDockのようなものが設置されていたり、設定画面は2ペインデザインになっていたりと、かなりiPadOSを意識したようなものになっています。

設定画面はiPadOS風

ホーム画面下にはDock風のランチャーも搭載

 マルチウィンドウや分割画面にも対応しており、画面上部に表示されている「…」をタップするとウィンドウを分割したりフローティングしたりするためのメニューが表示される点もそっくりです(iPadOS 26ではこのUIは廃止されてしまいましたが)。もちろん設定項目やホーム画面でカスタマイズできる部分などは異なるためiPadそのままの使い勝手ではないのですが、iPadからの乗換えでもほとんど違和感なく操作できるかと思います。

マルチウィンドウにも対応

 それに加えて、画面端スワイプでの戻る操作といったAndroidのジェスチャーナビゲーションもそのまま使えるので、Androidスマホと併用している場合でも特に困ることはなさそうです。UI操作へのレスポンスも良好で、操作感においてはiPadと比べても十分満足できるものでした。

 なお、デフォルトでは画面リフレッシュレート設定が「インテリジェント」になっており、状況に応じてリフレッシュレートを自動で調節するようになっています。ただ、この場合Webブラウザなどでの画面スクロール時にやや文字がブレるような感覚がありました。そのため、リフレッシュレート設定を「標準」(60Hz)もしくは「最大」(144Hz)に設定することをおすすめします。

 画面サイズに関しては、前述のように縦長になるように持った場合iPadよりもやや幅が狭くなります。WebやSNSの閲覧においてはほとんど困ることはないですが、横長になるように持った状態でWebブラウザでマンガを見開きで閲覧する場合、Webブラウザのヘッダー領域の分だけページを表示する領域の高さが小さくなるため、全体として縮小された表示になってしまいます。全画面表示にすればおおむね問題ないのですが、全画面表示をサポートしていないWebマンガサイトも一部存在するため、その点では若干不便です。こちらはブラウザで強制的に全画面表示を可能にする拡張機能等を利用することで解決できるかもしれません。

アプリの対応

 Androidにおいては基本的にタブレット専用のアプリというものは存在せず、アプリ側でさまざまな画面サイズに対応できるようにしておく必要があります。そのため、基本的にはAndroidスマートフォン向けのアプリはすべて動作します。ただし、UIがタブレットに最適化されておらず、単に画面を大きく引き伸ばされただけのUIになってしまうものも多いです。Googleの提供しているアプリについては基本的にタブレット向けのUIを備えているため、使い勝手の面では困ることは基本的にありませんが、たとえばAndroid版のXアプリはそのような気の利いた仕組みはなく、単純に画面脇に大きな余白のあるデザインで投稿が表示されます。

 なお、自分がメインで使っているFirefoxはAndroid版もリリースされていますが、こちらはタブレット向けに最適化されたUIになっており、Chromeと同様に快適に利用できます。拡張機能も利用可能ですし、基本設定で動画の自動再生をブロックすることも可能です。個人的にWeb閲覧中に突然音が流れるのが大変ストレスで、そのためiPadでは基本的に音量を0にしておいて、必要な時だけ音量を上げ、コンテンツを見終わったらまた下げる、という作業を繰り返していたのですが、これが不要になるだけでもAndroidタブレットにした価値があると思っています。

生体認証の利用

 本機は指紋認証機能を搭載しておらず、生体認証は顔認証のみとなっています。ロック解除時などの顔認証のスピードは十分速く、精度としてもiPhoneのFaceIDと同程度のようです。ただ、カメラが長辺部、つまり横長になるように持ったときの上側に設置されているため、縦長になるように持った際には持ち方によっては指でカメラが覆われてしまうことがある点には注意が必要でした。

タッチペンの利用

 絵を描くわけではなく、ペンでのメモ等もほとんど使わないのでペンについては未知数です。ひとまず普通に使えることは確認しています。Apple Pencil Proのようなペン軸を押し込んで操作する(スクイーズ)機能はないのですが、ペンの軸をタップしたりスワイプしたりしての操作には対応しており、またそれに応じて振動する機能も備えています。思っていた以上に高機能です。

保護ケース

 AndroidデバイスはiPhoneやiPadと比べてケースや画面保護フィルムの選択肢が少ないという弱点があります。ただ、本機に関しては中国では「Xiaoxin Pad Pro GT 11.1」という名称で販売されており、このXiaoxin Pad Pro GT 11.1向けのケースや保護フィルムがそのまま利用できます。AliExpress等の中国系通販サイトで簡単に購入できますので、(そういったサイトが利用できれば)ケースや保護フィルムの入手性は高いです。最近は円安のため「激安」ではないですが、たとえば自分が購入したこちらのケースは1,318円でした。

AliExpressで購入したケース AliExpressで購入したケース(背面)

 ちなみにこちらのケース、ペンも一緒に収納できるのですが、その分幅が大きくなるのと、収納した状態ではペンが充電ができないという非常にアレな罠がありました……。それ以外はまったく問題なく、むしろスイッチ等も問題なく押せるような構造になっていてよくできている感じなので残念でした。

コストパフォーマンス面での考察

 昨今では(円安がその大きな要因の1つかとは思いますが)Apple製品は販売価格の上昇が激しく、iPad miniですら現行モデルは7万8,800円から、iPad Airは9万8,800円からとだいぶお高くなっています。無印iPadは現在ではエントリーモデルという位置付けになっていることもあって5万8,800円からと購入しやすいお値段ではありますが、搭載するA16プロセッサは3年前(2022年9月)に発売されたiPhone 14 Proやその翌年に発売されたiPhone 15に搭載されていたものであり、それ以外のスペックについてもFaceIDやApple Intelligenceには非対応など、まさに「廉価版」というものになっています。一方のLenovo Yoga Tab (11.1インチ、2025)はiPad(128GBモデル)よりも5,000円ほど高い(6万3,800円)ですが、メモリやストレージはiPadの倍で、タッチペンも標準装備されています。プロセッサに関しても、Snapdragon 8 Gen 3は2年前にリリースされたものではありますが、単純な処理性能ではiPadのA16やiPan miniのA17 Proと比較してほぼ同等以上となっています(シングルスレッド性能はA17 Proよりも若干劣るがコア数が多いため総合性能としてはA17 Proよりも高い数値になる傾向が高い)。絶対的な性能でいうと当然iPad AirやiPad Proのほうが高いのですが、動画編集や重いグラフィック処理などを行わないのであれば本機でも十分ではないかと思います。