ECMAScript 2015の仕様書を読む(その4)

 ECMAScript 2015の仕様書(ECMA-262)を読んでいます。今回は関数とクラスの解説がある第14章。ここではアロー関数やclassキーワード、関数のデフォルト値、可変長引数など多くの新機能が説明されている。

第14章

 関数とクラスについて。14.1では、以前よりあったfunctionキーワードを使った関数定義が説明されている。functionキーワードでの関数定義では、新たにRest Parameterという仕組みが導入された。これは、下記のように記述することで、可変長引数をより簡単に扱える仕組み。

function 関数名(引数1, 引数2, […,] ...残り引数)

 たとえば以下のようにすると、foo関数に与えた3つめ以上の引数は配列restに格納される。

function foo(arg1, arg2, ...rest) {}

 また、引数では新たにInitializerを使用できる。「引数=値」のように指定することで、その引数がundefinedだった場合、指定した値がセットされる。たとえば次の関数では、2つめの引数がundefinedだった場合、arg2には1が代入される。

function foo(arg1, arg2 = 1) {}

 14.2ではアロー(「=>」)を使った関数定義(アロー関数)が説明されている。アローを使った関数定義は、簡単にまとめると以下のようになる。

() => {関数定義}
(引数1) => {関数定義}
(引数1, 引数2, [...]) => {関数定義}
(引数1, 引数2, [...], ...rest) => {関数定義}

 {関数定義}の代わりに戻り値を直接記述することも可能。たとえば次の関数は、与えた引数の和を返す。

(a, b) => a + b

 なお、アロー関数内ではargumentsやsuper、this、new.targetが定義されず、関数を定義したレキシカル環境のそれぞれをそのまま継承する。

 14.3はメソッド定義についての説明。新たにget/setキーワードが導入されている。メソッド定義の際にメソッド名の前に「get」もしくは「set」を付与することで、getter/setterを定義できる。このメソッドに対しプロパティのように値を代入すると、代入した値を引数として定義したsetter関数が実行される。また、プロパティのように参照すると定義したgetter関数が実行され、その戻り値が返される。なお、getter関数には引数は与えられない。

 14.4は新たに実装されたgenerator関数についての説明。メソッド定義時の際にメソッド名の前に「」を付与することで定義できる。generator関数では、yieldキーワードを使って関数の途中で実行を中断し、そ時点で指定した値を返すことが可能。yieldもしくはyieldキーワードで中断された関数を再度呼び出すと、その続きから実行が再開される。

 14.5ではclassキーワードなどを使ったクラス定義が説明されている。classキーワードもECMAScript2015の新機能。次のようなスタイルでクラスを定義できる。

class クラス名 [extends 継承するクラス名] {
  クラスの定義
}

 クラスの定義では、staticキーワードを使ったメソッドの定義が可能。

 14.6では末尾再帰の最適化についての説明。再帰的に実装されているコードをループに展開する流れに書いてある処理系による実装の話なので、JSコードを書く側としてはあまり意識する必要は無いはず。