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AVFoundation小ネタ1:AVAssetを使ってmp3やm4aのタグ情報を取得する

 macOS(10.7以降)やiOS(4以降)などで利用できるAVAssetクラスを利用することで、別途外部のライブラリを使用せずにmp3ファイルやm4a(AAC)ファイルのメタデータ(タグ情報)を取得できる。AVAssetはさまざまな動画や音声ファイルに対応しており、同様のやり方で動画ファイルのメタデータも取得できると思われる(未検証)。

 特定のファイルのメタデータを取得するには、まずAVAsset(URL: url)メソッドを使ってAVAssetオブジェクトを作成する。url引数には対象ファイルのパスをNSURL形式で指定する。

let path = <ファイルのパス>
let url = NSURL(fileURLWithPath: path)
let asset = AVAsset(URL: url)

 メタデータにはmetadataプロパティやcommonMetadataプロパティ経由でアクセスできる。このプロパティはAVMetadataItemの配列となっている。この配列に対しfor inループなどを使ってメタデータを探して処理を行えば良い。

for metadata in asset.metadata {
    // metadataオブジェクトを使ってメタデータを得る
}

AVMetadataItemの中身 

 ここまでは簡単なのだが、AVMetadataItemクラスはさまざまな形式のファイルに対応するための抽象化がされており、ドキュメント初見では意味が分かりにくいかもしれない。

 まずkeySpaceプロパティだが、ここにはそのメタデータがどのファイル形式でサポートされているものなのかを示す文字列が格納されている。ここで使われる文字列のうちいくつかはあらかじめ定数として定義されている(Key Spaces)。たとえばmp3が格納しているタグ情報であるID3で利用できるメタデータの場合、keySpaceプロパティの値はAVMetadataKeySpaceID3(文字列としては"org.id3”)になる。AVMetadataItemクラスには、指定したメタデータの配列から指定したkeySpaceに対応するメタデータだけを取り出すmetadataItemsFromArrayというクラスメソッドも用意されている。

 また、keyプロパティにはメタデータを識別する情報(キー)が格納されている。この情報は必ずしも文字列であるとは限らないため、型はStringではなく(NSCopying & NSObjectProtocol)?になっている。そのため、これを文字列として参照したい場合はidentifierプロパティを使う。

 文字列形式のメタデータキーについても定数があらかじめ定義されている。たとえばID3の場合、タイトルはAVMetadataID3MetadataKeyTitle、アルバム名はAVMetadataID3MetadataKeyAlbumTitleという定数が定義されている。たとえばタイトルとアルバム名を取り出したい場合、これを使って次のようにすれば良い。

for metadata in AVMetadataItem.metadataItemsFromArray(asset.metadata, withKey: nil, keySpace: AVMetadataKeySpaceID3) {
    guard let key = metadata.identifier else { continue }

    if key == AVMetadataID3MetadataKeyTitle {
        if let v = metadata.stringValue {
            title = v
        }
    }
    if key == AVMetadataID3MetadataKeyAlbumTitle {
        if let v = metadata.stringValue {
            album = v
        }
    }
    :
    :
}

 値が格納されているvalueプロパティについても型はStringではなく(NSCopying & NSObjectProtocol)?になっているので、stringValueやnumberValue、dateValueなどのメソッド経由で取り出すのが良い。

 さて、ファイル形式によって利用できるkeyは異なる。たとえば同じタイトルでも、ID3ならAVMetadataID3MetadataKeyTitleDescription、iTunesならAVMetadataiTunesMetadataKeySongNameというキーになっている。種別ごとにキーが異なるのは面倒なので、AVMetadataItemにはcommonKeyというプロパティが用意されており、たとえばタイトルを示すメタデータであればこのプロパティにAVMetadataCommonKeyTitle(文字列としては"title”)というデータが入っている。こちらもあらかじめ定数が定義されている。こちらを利用することで、ファイル形式によらず情報を取得できる。

for metadata in asset.metadata {
    if metadata.commonKey == AVMetadataCommonKeyTitle {
        if let v = metadata.stringValue {
            title = v
    }
}

iTunes形式のメタデータに関する注意点

 iTunes形式のメタデータ(keySpaceがAVMetadataKeySpaceiTunesのメタデータ)では、identifierプロパティに「itsk/%A9nam」といった文字列が格納されている。いっぽう、あらかじめ定義されているiTunes Metadata Keysでは、たとえばタイトルを示すAVMetadataiTunesMetadataKeySongNameの値は「@nam」という文字列になっており、これらが一致しない。そのため、次のようにしてidentifierの値を変換した上で比較する必要がある。

guard let key = metadata.identifier else { continue }
// key is like 'itsk/%A9nam', so split and decode
let comps = key.componentsSeparatedByString("/")
    if (comps[0] != "itsk") {
        continue
    }
    let k = comps[1].stringByReplacingOccurrencesOfString("%A9", withString: "@")
}

BSD版sedとGNU版sed

 BSD版のUNIX toolsと、GNU版のUNIX toolsでは微妙に受け付けるコマンドラインオプションが違うのは有名な話。たとえばGNU版の「cp -a」はBSD版では「cp -pr」に相当する。

 で、Mac OS XのコマンドラインツールはBSD版なのだが、「sed -e “s/ /\n/g”」が効かなくて困った。Mac OS X付属のsedは置換後の文字の指定にエスケープシーケンスが使えないらしい。

 これの簡単な解決はこちら。

perl -pe "s/ /\n/g"

 「perl -p」でsedっぽい動作をさせられる、という話でした。よくこんなの覚えてたな>自分。ラクダ本の最初のほうとかに書いてあったんだっけ? ラクダ本を読んだのは多分10年くらい前だと思うんだけど、IT業界の進化は早いとか言われていて3年前の知識はもう古いとか言われているけど意外に昔覚えたことってふと全然違うことで役立つことがあるから侮れないね。